33秒台の上がりタイムを出した馬は、鋭い末脚が評価され人気になりやすいのですが、けっして能力が高いとは言い切れません。
なぜならば、上がりタイムは競走馬の能力以外に展開や位置取りなど外部要因が大きく影響しているからです。
また、上がり最速馬も同様に注目されることが多いのですが、数字だけに注目していては大きな勘違いをしてしまう可能性さえあります。
今回は上がりタイムの見方についてご紹介します。
上がりタイムは絶対値ではなく相対値で見る
一般的にスローペースの場合、レースの上がりタイムは速くなり、ハイペースの場合、レースの上がりタイムは遅くなります。
つまり、ペースによって上がりタイムの平均値が変動する以上、上がりタイムの絶対値にはあまり意味はないということです。
ということは、上がりタイムはただ速ければいいというわけではなく、レース全体の上がりタイムと比較し相対的にどれだけ速いかが重要となります。
たとえば、レース全体の上がりタイムが34秒と35秒のケースを比べてみた場合、34秒のレースは35秒のケースに比べ、速い上がりタイムが出しやすい環境にあります。
ということは、この2つのレースにおいて、上がりタイムが34秒の馬がいた場合、レース全体の上がりタイムが35秒のレースにおいては速い上がりタイムと判断することができますが、レース全体の上がりタイムが34秒のレースにおいては速い上がりタイムと判断することはできないわけです。
上がりタイムを評価する時には、タイムの絶対値ではなくレースの上がり時計を基準に判断すべきでしょう。
上がりタイムには、位置取りによりアドバンテージがある
また、脚質によっても上がりタイムの考え方は異なります。
逃げ、先行馬は馬群の前目に位置しているので、差し追い込み馬に比べ上がりタイムが掛かりやすいという特徴があります。
つまり、馬群の前目に位置しているということは、上がりタイムにおいてアドバンテージがある状態であり、ペースによっては遅い上がりタイムでも好走することが可能です。
たとえば、残り3ハロンの時点において逃げ馬と差し追い込み馬とのタイム差が0.5秒だった場合、差し追い込み馬にに比べ上がりタイムが遅くても0.5秒以内であれば逃げ切りが可能だということです。
逆に、差し追い込み馬は馬群の後方に位置し馬群を追い越さなければ勝負にならないので、さきほどと同じ条件で考えれば、馬群の最後方に位置していた馬の場合、たとえメンバー中最速の上がりタイムをマークしたとしても、レースの上がりタイムより0.5秒以上速い上がりタイムで走らなければ勝ち切ることは困難だということです。
つまり、馬群の後方に位置している馬にとって上がりタイムがレースの上がりタイムよりも速いことは当然であり、上がりタイムの速さだけで能力が高いと判断するのは早計だといえます。
上がりタイムを参考に競馬予想をする時は、その数字だけに注目するのではなく、レースのおける位置取りや脚質も考慮し判断すべきでしょう。