複勝ころがしは、とっても魅力的な馬券の買い方です。
ただし、魅力的だといっても、それは馬券を買う私たちからの視点ではありません。
複勝ころがしは、胴元であるJRAからの視点において、非常に魅力的なのです。
複勝ころがしで馬券を購入する競馬ファンが増えれば増えるほど、JRAは笑いが止まらないでしょう。
今回は、複勝ころがしは本当に儲かるのか?について考えてみます。
複勝ころがしとは
複勝ころがしとは、馬券の配当全額を次のレースの馬券購入金額にすることで、雪だるま式に資金を増やしていく馬券購入方法です。
馬券的中率が100パーセントであることがころがしを継続する前提条件となるため、最も的中する確率が高いと考えられている複勝馬券にてころがしていくのが一般的です。
単勝1点買いの場合
最初の資金が1万円とし、10万円に増やすケースを、単勝1点買いと複勝ころがしを比較してみます。
まずは、単勝1点買いから見ていきましょう。
1万円で、単勝オッズ11.3倍の馬券を購入し的中した場合、配当は113,000円になります。
そして、単勝の控除率は約80パーセントですから、配当額の20パーセントにあたる22,600円がテラ銭としてJRAの取り分となります。
この場合、私たち競馬ファンが手にする配当に対するJRAの取り分の割合は、控除率を差し引いた20パーセントです。
この20パーセントという数字はとても重要なので、必ず覚えておいてください。
複勝ころがしの場合
次に、複勝オッズ1.5倍にて複勝ころがしを行う場合について見てみましょう。
目標とする10万円には、6回転がすことによって目標達成することができます。
そして、馬券が的中した際には単勝の場合と同様に、配当額の約20パーセントがテラ銭となるため、複勝ころがしの場合、計6回それぞれ20パーセントづつとられ、その合計額は62,343円となります。
ここで注目すべきは、複勝ころかしの結果、手に入れることができる配当に対するテラ銭の合計額の割合です。
その割合は、なんと54,7パーセント。
なんと、私たちが知恵を絞り複勝ころがしをして手に入れた配当額の半分以上をテラ銭として、いとも簡単に奪わているわけです。
一方、さきほどご紹介した単勝ではテラ銭として奪われていく割合は20パーセント。
この大きな差が、いったいどのような意味を持つのか、あなたにはお分かりでしょうか。
複勝ころがしのテラ銭合計額
配当額に対するテラ銭の割合が高いということは、手数料としてとられている金額が多いということです。
手数料としてとられている金額が多いということは、回収率が悪いということです。
複勝ころがしをしている時、皆さん手にした配当金額は気にしますが、これまでにどれだけのテラ銭をとられているかについて、気にする人はほとんどいません。
なぜならば、テラ銭としてどれだけとられているかは、自分で計算しなければ誰も教えてくれないからです。
また、複勝ころがしによるテラ銭の割合は、ころがす回数が増えれば増えるほど増加していきます。
つまり、ころがした回数を自慢している人は、多額のテラ銭をとられていることに喜びを感じ、JRAに多額の寄付をしていることを自慢しているようなものなのです。
それでも、複勝ころがしを試したければ
今回の検証では、馬券的中率を考慮しなかったため、もしかしたら、実際の傾向は多少異なるのかもしれません。
しかし、馬券を買う回数が増えれば増えるほどテラ銭の割合が増えていく複勝ころがしは、競馬ファンにとって儲かる馬券の買い方とは到底思えません。
もし、どうしても複勝ころがしで儲ける方法を見つけたければ、出来る限りころがす回数を少なくすることです。
ころがす回数を少なくすれば、テラ銭として持っていかれるお金が減ることは、これまでご紹介したとおりです。
また、複勝は当たり目が3種類あるため、複勝ころがしは当たりやすいと勘違いしてはいけません。
5つのレースの勝ち馬をすべて当てるウイン5を、数万円買っても当てることが難しい現実を考えれば、連続して馬券を当てる難しさを、ここでわざわざ説明する必要もないでしょう。